ヤヌス 〜Janus〜 

ローマ神話の、出入り口と扉の守護神。物事の始まりを司る神。
前向きと後ろ向きの二つの顔を持つ。
過去と未来の境界、始まりの象徴などと言われる。
一月は一年の始まりの月ということで、ヤヌアリウス(ヤヌスの月)と呼ばれるようになった。
また顔が二つあるもの、二つの側面があるものの比喩的呼称に用いられることもある(動物の奇形を含む)。

ヤヌスは古いローマの王で、優れた治世だった。
古代ローマ初期の王政に建てられたとされるヤヌス神殿(紀元前8〜7世紀ごろ)は、ヤヌス像が祀られており、建物の両側の扉はヤヌスの扉と言われた。
この扉は古代ローマにおいて戦争時は開けられ、平時は閉じられていた。
これはかつてのヤヌス王がローマを襲撃しようとしてサビニ人を追い払った(熱湯の泉を噴出させた)ことに由来している。
有名なポエニ戦争や、アクティウムの海戦などの時も開いていたという記録がある。
なお古代ローマ時代では開いている時(つまり戦争中)のほうが圧倒的に長いようである。

 

【関連雑学】
ギリシャ神話に、同一視されている神がいない。
土星の第10衛星の名前の由来。
  第11衛星エピメテウスと公転軌道がほぼ同じで、およそ4年に一度接近して、軌道が入れ替わる。